07 - 24 - 2008

新企画「夢は…かなう」

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orikasa3.JPG ILMロビーにて。折笠彰さん、妙子さんと柚衣ちゃん

折笠彰 CGアーティスト

努力は必ず誰かが見ている

 連載「タマゴのチカラ」では、夢を追う若者たちの姿を紹介しているが、当欄「夢は…かなう」では、追い続けた夢をかなえた人に話を聞く。
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 「人生の中で妥協しているところってあるじゃないですか。でも、この会社(ILM)に来ることは、いつも自分の中にあって、それを生き甲斐みたいにしていた。このステップを妥協したら、一生後悔するんじゃないかなと思ったんです」
 生まれたばかりの愛娘、柚衣(ゆい)ちゃんと妻の妙子さんへおだやかなまなざしを注ぎながらも、夢を追い続けた気持ちを語る口調は熱い。
 少年の日、父親に連れられ、映画館で「ET」を見た時から、特撮の仕事に興味を持った。その思いを察した父親からプレゼントされた本、「Industrial light & magic(ILM) ジョージ・ルーカスのSFX工房」で、「スターウォーズ」などで知られるルーカス監督が設立した最高峰の特撮技術会社、ILMという「夢」を発見した。
 今年2月、9年間在籍した映画の特撮を扱うComputer Cafe社(以後、CC社)を離れ、テクニカル・ディレクター(TD)、CGのライティング、レンダリングのスペシャリストとしてILMで働き始め、夢をかなえた。
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 日本では経済学専攻で大学を卒業したが、夢をあきらめられず留学。大学でグラフィックデザインを専攻したものの、CG制作が学べる環境はなかった。
 「教えてくれるところが見つからなかったので、自分で見つけて勉強するところから始まった」。ソフトウェアを買い、マッキントッシュと四六時中格闘。卒業前にようやく完成させた努力と思いの結晶が、1分ほどのCGのデモリール。
 それを20社に送り、唯一興味を持ってくれたのがCC社だった。オファーは、週1日のパートタイム。月に500ドルの給料はすぐに家賃に消えた。 「何でもいいからやらせてくれ」。毎日仕事場に顔を出し、1日中、夢中で働き、自分の思いを同僚に語った。
 「アメリカは自分で声をあげて助けてくれって言わないと、受け身でいたら何も起こらない国。思いを話して、周囲からの助けを自分に導いて来るのが大事」
 熱心な仕事ぶりは同僚や社長を動かし、3カ月後にはCC社の正社員として採用された。
 支えになったのは、ILMでマットペインティングのアーティストとして活躍していた、日本人の上杉裕世さんの存在。
 「日本人として、上杉さんのようにILMでトップの仕事をしている人がいる。野球だったら、野茂みたいな。そうしたパイオニアの人たちの存在がすごく大きい。彼らが何かをしてくれるわけではないけれど、頑張っている姿を見るだけで、自分にも出来るかなと思うことができた」
 上杉さんがいった言葉にも励まされた。
 「『自分にはできると信じて、一歩一歩着実にステップを踏んでいけば必ず実る』と僕も思い込んでやってきた。本当に努力していれば、誰かがどこかで必ず見てくれている。頑張ってるのに、何でだめなんだと思う時もあるけど、それは無駄じゃなくて、そこであきらめないで、ワンステップずつ努力していれば、必ずどこかで評価してもらえる時がくる」
 9年間で数々の映画に関わり、経験を積み、最終的には、アーティストたちを統括するCGスーパーバイザーも務め、自信を得た。今回の就職も、CC社の社長の後押しがあったのだという。
 「今やっと夢の入り口に立って、門をくぐらせてもらった。これからが勝負だと思っています」
(田中真太郎)

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