多彩に描かれる光源氏
Posted inマンガ研究家 ミヤケ氏が講演
1000年にわたって人々に愛されてきた、日本の古典代表作「源氏物語」。映画やドラマの原作になっているが、マンガではどう描かれているのか。日本文学研究者で、最近ではマンガ文化の研究も手掛けている、ポモナ大(南カリフォルニア)のリン・ミヤケ教授が25日、サンフランシスコ市内で講演し、少女向け、男性向け、ギャグマンガなど、マンガのジャンルによってさまざまに姿を変える光源氏を紹介した。北加ジャパンソサエティーの主催。
ミヤケ氏は、源氏物語について、宮廷に仕えた紫式部による著作で、桐壺帝の息子として生まれた光源氏が、理想の女性を求めてさまざまな女性と恋愛に落ちる物語であることなどを紹介。「この物語の濃密さ、豊かさが、たくさんの解釈を生み出した」といい、繰り返し映画化やドラマ化されただけでなく、オペラや交響楽も書かれ、マンガはさまざまな作家によって22作も生み出されていると話した。
ミヤケ氏は22作の中から、つぼいこう、長谷川法世、赤塚不二夫、鳥羽笙子、江川達也の源氏物語、さらに大和和紀の「あさきゆめみし」、小泉吉宏の「大掴源氏物語 まろ、ん?」をそれぞれ絵を見せながら紹介。
つぼいや長谷川の作品は、原作や時代背景に忠実に描かれ、性的な場面でもヌードが描かれていないこと、対して青少年向けで人気の高い江川の作品では、大きな胸が露になるなど、違いが見られることを解説。ギャグマンガの赤塚作品では、象徴的キャラクターの「イヤミくん」や「バカボンのパパ」が登場し、8コマの小泉作品では光源氏が栗の姿で描かれるなど、強くデフォルメされた作品もあることを解説した。
一方、少女マンガの大和、鳥羽作品では、繊細で美しい背景と、ハンサムな光源氏が特徴的。特に大和作品はベストセラーになっており、「調査をしたら、日本の中高生の多くが、入試のために、『あさきゆめみし』を読んで源氏物語を勉強していることが分かった」とミヤケ氏は話した。
源氏物語やマンガ文化など、日本文化に興味のある約40人が会場に詰め掛けた。作家によってさまざまに描かれる源氏を見ながら、ミヤケ氏の話を楽しんだ様子で、「なぜ源氏や登場人物の顔が欧米人風なのか」など、活発に質問した。
源氏物語が書かれてから今年で1000年に当たるのを記念し、北加ジャパンソサエティーが企画した講演シリーズの一環。(森廣陽子)

