福田さんにエルダーシップ賞
Posted in40年の柔道指導たたえ
シニア居住施設の運営など、サンフランシスコでシニア福祉事業を展開している団体「パシフィック・インスティテュート」は6日、目立った活躍をしているシニアに贈るエルダーシップ賞を、ベイエリアで40年にわたって柔道を教えている福田恵子さんと、人道主義的見地から財産のコンサルティングをしてきたジョン・レビーさんに授与した。 福田さんは1966年に渡米以来、ミルズ大やSF市立大で柔道を教え、サンフランシスコ市内に「桑港女子柔道クラブ」を設立、指導を続けている。ベイエリアの女性の身体と精神的鍛錬に、長年貢献してきたことを称えられた。
授与式では福田さんを呼び寄せて以来、共同生活を続けているシェリー・フェルナンデスさんがあいさつを代読。「たくさん賞をいただきましたが、95歳という年齢が受賞理由となったのは初めてです。柔道は時間の流れや年齢とは関係ない。柔道のために生まれてきたので、私は95歳という年齢で自分を制限することはありません」と話した。
記念の盾を受け取ると、福田さんは拍手かっさいを浴び、立ち上がって大きな声で「ありがとうございます。今日はここに来られてとても幸せ」と謝辞を述べ、「一日少しでも手や足を動かすと、健康維持ができますよ」と、健康の秘けつを伝授した。
レビーさんは、財産相続や活用について、一般家庭や銀行家、ファイナンシャルプランナーら向けに、心理学的、人道主義的見地からのコンサルティングを25年にわたって行っている。その実績が認められ、今回の受賞となった。
パシフィック・インスティテュートは、シニアの権利を唱え、精神充実に重点を置いたケアを研究、促進している団体で、医療従事者や介護者らの指導のほか、SF市内でケア施設2カ所を運営している。団体の創立者、ネイダー・シャバハンギ氏はあいさつで「高齢化とは、ただ歳を取るのではなく、成長過程の一部だと、われわれは訴えています。成長し、さらに深く自分のことを理解し、学ぶ機会を得るということなのです」と話した。
強く、優しく、美しく
「賞はたくさんいただきました。道場は賞でいっぱいです」
受賞の感想を聞くと、福田さんは、笑ってこう返した。
講道館柔道の創始者、嘉納治五郎氏が直接教えた弟子の一人で、女性最高の9段保持者。
柔道を始めたのは、昭和女子大を卒業した21歳の時。著名な柔術師の祖父、福田八之助氏が嘉納氏を指導したのが縁で、講道館が初めて受け入れた女性24人の一人として弟子入り。3年間びっちり学び、東京五輪では、エキシビションで女子柔道を披露した。
同五輪で男子柔道が正式種目になってからは、世界各国に出向いて柔道を指導する日々。66年、2回目の来訪となったオークランドのミルズ大で教えた所、好評で、現在に至るまで40年間、ベイエリアで指導を続けている。
「生徒の熱意があるから、それに私も引かれるんです。私も柔道が大好きだから、一所懸命教えたくなるんです」と、頬を赤く染めて語気を強める。
パーキンソン病や関節炎と闘いながら、今も週3回、ノイバレーの桑港女子柔道クラブに必ず出向き、道場のいすに座る。「(弟子が)どうしても分からないと言う時、前は投げてみせたけど、足を悪くしてからは、腰掛けたままでやるんです」とほほ笑む。
美しい言葉でしっかりと話し、柔道だけでなく、三味線や華道、習字もたしなむ福田さん。凛とした日本女性らしさを感じさせる。指導のモットーは「強く、優しく、美しく」だ。
世界に広がった柔道について「ただ投げればいい、という風に変わってきた。精神修養はとても大切ですから、技術を習うと同時に精神修養をしないと柔道じゃないです」と苦言を呈した。(森廣陽子)

